散り急ぐ花 <第1話> コノ、汚イ躯。(2)
「また、少しやせたみたいだ・・・」 自分の手首を見つめてみた。 入院して以来、一向に良くならない体。 最近、よく眠れない。 頭の奥がずきずきして、吐き気が持続している。 「邑輝とあんなことばっかしてるからかな」 苦く、笑ってみた。 あんなこと、とはSEXのことだ。 いつから邑輝とSEXをしているのか、都筑自身覚えていない。 そのきっかけすら覚えていないのだ。 「”嫌だ”って、ことはないし、もしかしたら俺から誘ったのかもな」 ははは、と、また 笑ってみた。 実際、邑輝とのSEXは体中が性感帯になったのかと思うほど 気持ちが良い。 最中だけは、なぜか体の不調も感じられない。 昨日も、ただ、気持ちが良いだけだった。 ・・・思い出したら また 体が熱くなってくる 「熱がでてきたかな?な〜んて。」 そう言って、都筑は自分のものに手をのばした。 昨夜のことを思い出してみる。 ”あなたはほんとうにいやらしい人ですね” 邑輝の言葉が頭の中で繰り返される。 「は・・・ は ああ」 左手で先のほうをいじりながら、右手を後ろにまわす。 しかし、すこしためらった後 右の手は中に入らず前にもどされた。 両の手で適当にしごく。 体は熱いけれど、頭の中は冷たく冷えきっていた。 「・・・・っ」 無理やりの射精 とりあえず、大きく二回 深呼吸。 気持ち悪・・・ 本当に口にだしたのかわからないくらい、かすかにつぶやいた 自分の体が信じられない。 男なのに、男の体を受け入れて そのうえ喘いでいる。 突っ込まれて、掻きまわされて、ぐちゅぐちゅに滴らせて… 初めあった痛みは、今ではそれすらも快楽の一部で・・・ でも、そのことについては、もう受け入れた・・・というか どうでもよくなってしまった。 邑輝のことも恋人だと思っている。 だけど・・・ 言いようのない虚無感 SEXのあとはいつも、それにおそわれた。 ベッドの中でいくら睦言をささやかれようと、いつも”虚無”はやってくる。 「・・・・・・」 考えるのがめんどくさくなって、窓の外に目をやる。 寒桜が、自分の目にしみこむように 鮮やかに色づいていた。 綺麗な色だ 綺麗で、きれいで綺麗で綺麗で綺麗で!!!!!!!!!!!! 自分の醜さが、 ひきたつ 気 が シタ 都筑は急いで窓際にかけよる。 見たくない。 自分のことを”醜い”って確信させるものなんて ミタクナイ!!!! カーテンに手をかける。 だけど、一気に閉めようとする手とは逆に、目はある一点に集中していた。 視覚が、脳に伝わり、カーテンを半分まで閉めたところで 手は脳の命令に従い、カーテンを閉める事を やめてしまった。 桜がざわついている。 ほほを染めた少女のように、桜がさらにあでやかに色づいた 気が、シタ。 そして、その、桜の下には少年がいた。 白い着物を着て、都筑のいる窓をながめている。 「誰だろう」 ドキドキする。 金色の髪が、桜の色を映しこんでゆらゆら揺れている。 着物の色に、まけないくらい白い肌。 そして、その、白い腕が 都筑にむかってさしのべられた。 行かなくちゃ!! そう、思う前に、体はもう 走り出していた。 早く、あの子のそばにっっ 喉が痛い。頭もがんがんする。だけど、だけど!!!!! イ カナ ク チャ ”都筑さん!!走っちゃダメです!!” 看護婦の叫び声は、聞こえたけれど 耳には入らなかった ・ ・ ・ 「い・・・ いな い」 もとのとうり、ただ咲いているだけの桜の下には、もう 誰もいない。 体中がきしきし痛む。のどの奥もひゅうひゅうと鳴る。 だけれど、それ以上に悲しみで 胸が痛んだ。 桜の木に、もたれかかってそのままずるずると座り込む。 「綺麗な子だったな・・・」 落ちてきた、一枚の花びらが 妙に愛しく感じられて口付けをした。 心が、何かに満たされていく気がして都筑は目をつむり、 そのまま眠ってしまった。 |
| 第1話 <コノ、汚イ躯> 終わり |
001112 (日)