病院☆パラダイス(2)
「さて・・・どうしたものか。」 指導室の医師用のイスに座り、大森は一人つぶやいていた。 アルミの机の『Dr,大森』とネームの貼ってあるひきだしをながめる。 その中には数枚の写真。 そして その写真にはすべて内田敦裕が写っていた。 どこから入手したものか、修学旅行の写真から体育のプールの授業時の スクール水着姿の写真まである。 その中の一枚の、一番写りが良い写真を取り出して大森は軽く笑う。 ―――― やっぱり 可愛良いな。 俺のマイ ハート エンジェル ・・・ ―――― ギャグにしか思えないが彼は大真面目なのだ。 この美形の医師、大森武人は内田敦裕によこしまな恋心を 抱いているのである。 大森武人が自分の性癖に気がついたのは中学生の頃だった。 幼なじみに彼女ができたことを知った時、言い様のない嫉妬と執着を感じた。 その時、大森にも彼女がいた。 さらさらしたロングの髪が魅力的な美少女だった。 その子のことも愛していた。 幼なじみに対する想いも、彼女に対する想いも同じくらい強く、 その時、大森は自分がバイ(両性愛者)だと自覚したのだった。 しかし、自分ではそのことに対してとくに何も思わず、 彼女を抱いている時に幼なじみの顔を思い出してイってしまった時も ちょっとやばいかなーと思ったくらいだった。 そして、何日か後、多少 強引な方法で大森は幼なじみを恋人にした。 しかし、お互いの彼女にばれそうになってしまい、相手への興味も薄れ 結局、幼なじみとも彼女とも別れを告げたのだった。 どちらかというと男のほうが好きかもしれないと思った大森は、 都内の名門私立男子校に進む事にした。 しかし、男子校に進んだにもかかわらずその美貌と長身のせいか 絶え間なく女の子は言い寄ってきた。 大病院の院長の息子ということもあって、たまに訪れる父の病院で 看護婦からお誘いをうけることもあった。 学校では、優秀な成績と外見で一目おかれていて、慕ってくる同級生や後輩、 時には新任の教師などにも手をだしたりしていた。 それでも、変なうわさや誹謗中傷などの声がたたなかったのは 大森が手をだすのも上手ければ、別れる才能にも たけていたからであろう。 とりあえず 好みはあるが、 『来るものこばまず去るもの追わず。 狙った獲物はのがさない。』 と、いうのが彼の信条だったのである。 それが今、大森は一人の少年にまいってしまっているのだ。 そしてその相手が、内田敦裕だった。 フフ・・・。楽しみだ・・・。 絶対、俺のものにしてみせる・・・ 大森は妄想にひたっていた。 その時コンコンと、ふいにドアをノックする音が響いた。 来たか・・・ 大森は口に笑みを浮かべ写真を元の通りに直し、引き出しを閉めると 眼鏡を器用そうな指でと正し、「はい」と返事を返した。
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