| <第6話/塀の上の卵と従者の服(1)> |
| 「つ・・・疲れた・・・」 乱れた呼吸を整える。 レースって、汗かくとホント、気持ち悪ぃ・・・ ぐいっと、腕をまくる。 走ってたどり着いた場所には、高さ3mほどの塀があり、密はそこに 疲れた体をもたれかかせるように片手をついた。 もう片方の手の中には、扇子とウェイトレス。 一体 どうからまったのか、服はエプロンスカート含め、 扇子からはずれない。 ・・・俺、走ってばっか。 ただでさえ、コトの後で体がけだるいというのに、 さらにその体に追い打ちをかけるように走ってしまったので 膝も腰もくだけそうに辛かった。 ちくしょーー。 なんか、『やられては→走る』っつーのばっかり・・・ ったく。ここは一体、何で どうして俺はこんなところにいるんだよ??!!!!! 心の中で、誰に対してかわからない怒りをどなりちらし、 その感情をぶつけるように おもいきり壁を蹴ると、 どんっと 力強い蹴りを受けた壁がたてた音に ぐちゃっと 何かがつぶれた音が続いた。 「なんだ???卵??」 足元に でろーんと3,4個、殻のつぶれた卵の黄味が広がっている。 なんでこんなとこに卵が??! 塀の上を見上げると 卵が、ある一定の間隔をあけて並んでいた。 もう一度、足元にある卵に視線を戻した瞬間 広がっている卵の黄味はフルフルとふるえだし、緑や紫に変色しはじめた。 それに伴うすさまじい異臭。 「な ん・・・・なん だ よ っっ」 目が痛い。ノドがひりひりする!! 臭いにやられ、焼きつきそうなノドと目の痛みに半泣き状態になっていると、 塀づたいの数十メートルほど先から不思議な歌が聞こえてきた。 妙にこぶしのきいた、しわがれ声である。 その声には聞き覚えがあった。 あの声は もしや・・・・??!! 痛むノドと目を我慢しつつ、密は塀に手をついて 歌の聞こえるほうへ、よたよたと歩き出した。 『♪たまご たまご ずんぐりむっくり ヘイの上 落ちるな 落とすな ヘイの上のたまご 割れると危険 割れてはならぬ 女王様の兵隊も、割れた卵にゃ近づけぬ 勇敢誇る騎士達も 鎧を捨てて逃げちまう たまご たまご ずんぐりむっくり ヘイの上 赤い実かじって 吐きださにゃならぬ 』 椅子に腰掛けて、機嫌よく歌っている人物のところまで たどり着いた頃には 密の顔は真っ青になっていて今にも倒れそうなほど 衰弱していた。 「か・・・ちょ・・・」 歌っていた人物は、近衛課長だったのである。 苦しそうにあえぎあえぎ言う密を見て、ぎょっとしたように課長は 椅子から立ち上がった。 「どうしたんだ?!」 「た・・・・まご が・・・・っ」 「??!卵を割ってしまったのか??!」 「は・・・い・・・」 苦しさに、課長の腕の中に倒れこみながらそう言うと、 課長は自分が座っていた椅子に密を座らせた。 「ちょっと待っておくんだぞ」 そういうと課長は、近くにあった果実の木に走りより、「ふむ」と言って その中から一番熟れて赤く実ったグミのような実をちぎり取り それを密の口の中に ほおりこんだ。 「毒下ろしみたいなもんでな。 これを飲むと卵の毒が下りる。」 課長の言葉を耳にし、密はそれを苦労しながら嚥下した。 赤い実を飲んでしばらくして、青ざめていた密の頬に 少しづつ赤みが戻ってきた。 「だいぶん良くなったようだの。」 聞きなれた、いつもは都筑のせいでどなってばかりの課長の声が 安堵にやわらぐ。 「すみません。ありがとうございました。 ・・・でも、あの卵は一体、何なんですか?」 「この先には、女王の城へ続く道があるからの。 不信な侵入者を防ぐ為に、卵を改造した侵入者防止兵器を 設置してあるんじゃ。 わしはその見張り役での、地味だがやりがいのある仕事だと思っとる。」 最後は関係の無い、課長の仕事自慢になってしまったが、 どうやら塀の上の卵は、侵入者が塀をよじのぼろうとすると 落ちて割れ、毒ガスのようなもので侵入者を動けなくしてしまう 兵器のようだ。 でも、なんで卵なんだろ? 不安定でしかたないよな。 そんなことを考えている密に、課長は 「どうした?早く木陰にでも行って始末しないと 効力が落ちてしまうぞ?」 と、不思議な事を言った。 「え?」 頭の上に疑問符を浮かべる。 「ほら、その。・・・ナニをやって毒下ろしをせねば 倍以上に苦しくなってしまうからの。 早く行ってきなさい。」 “ナニ”? “やる”???? 眉を寄せて考えていると 「あー うー・・・ いわゆる、『自慰行為』じゃ。」 額に指をあてて、課長は困ったようにそう言った。 「体内に入った毒を下ろすには、毒に対応した実を食べて、 精子を放出する以外、方法は無い。 ・・・聞いたことないのか?」 汗をかきながら、フルフルと首をふる。 そんなこと聞いたことねぇよっ!! っつーか、自慰行為って・・・・・一人H ??!! つつーっと、背中に冷や汗が流れた瞬間だった。 「っっぅぐ ?!!」 激しいめまいと、ノドの痛み。 ぐらぐらと世界が揺れる。 「??!いかんっ もう効力がきれてきたのかっっ」 椅子からばたっと倒れ落ちた密を後ろから課長が抱き起こした。 呼吸が楽になるように、密の男物のわりにはヒラヒラとレースのついた 従者服のブラウスのボタンをもどかしげに はずす。 「かちょ・・・」 「・・・しかたない。 気持ち悪いかもしれんが我慢するんじゃぞ。」 そう言うと、課長は密のキュロットのジッパーをチィィーっとおろした。 「え・・・?!」 力の入らない声で後ろにいる課長を振り返ると、 課長は密のキュロットと下着を少しだけずらし ほんのりピンク色の性器を握った。 |