病院☆パラダイス(6)
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騒々しいデパートのの中にあるファーストフードのドーナッツ屋の中、 二人の少女がドーナッツを手にとりながらしゃべっている。 「ねぇねぇ。あの後ー、 どうなったと思う??」 「そっりゃもーーー!!!あれでしょっっ」 少女達は興奮している。 ―中原 雪乃と、綾川 美里だ。 「だって、エンジェルって今日で整形の実習 終わりで、 来週から別の病院にかわっちゃうんでしょ?」 綾川がドーナッツにかみつく。 病院実習は、毎週火曜・水曜の週二回で、今日は水曜日である。 そして実習場(病院)は、単位ごとに何度か変わるのだった。 「やるなら今日しかないよねぇ。」 「だよね だよね!!」 きゃらきゃらと笑いながら言う綾川の言葉に、中原は身をのりだした。 外見だけ見るとおとなしい美少女の中原だが、本当は 明るくてさわがしく、綾川と同類の性格の持ち主だった。 中原が続ける。 「それにしても・・・本当にびっくりしたなー。 前、たまたま整形の前を通ったのね、 そしたら・・・」 言いかけた中原を制して、綾川がニヤニヤと中原の言葉を受け継ぐ。 「んーんー。何度も 聞・い・た。 大森ドクターが何かをみつめながら微笑んでいた。」 「そう!それも、獲物を狙うような目つきでねっ」 2人がクフフっと笑う。 綾川が続ける。 「それで、ふいにドクターの口からでた言葉は、 『今日もかわいいね。 マイハート エンジェル・・・・』 」 綾川が、わざとらしくうっとりとした声で言う。 「そう。 そして、その視線の先をたどっていくと・・・・」 中原はゆっくりと指を空中に指をすべらせた。 次の瞬間、絶妙のタイミングで二人の声が重なる。 「その先には・・・・ 一人でバケツにお湯を汲む、 内田 敦裕の姿があった!!!!!!!! !!!!!!!!!!!!」 みつめあった後しばし沈黙し、一気に二人はきゃーーーーっとわきあがった。 「それ以来、私も内田君のことを心の中では 『エンジェル』ってよんでるのよ」 目をつむって悦に入ったように中原が言う。 「私だって雪乃に聞いてからそうよぉ。」 綾川も同じように続けた。 「でも残念だねー。 来週から、ドクターがやぁらしい目でエンジェルの事を みつめるのを見れなくなるんだよー。」 ほぅっと、中原が ため息をついた。 「だよねぇ。 それが楽しみで実習行ってるようなものだったのに・・・ 来週から、実習行く気うせるなー」 綾川も口唇をとがらす。 二人はもう一度はぁっとため息をついて肩を落とした。 「おそくなってごめんねー」 ・・・って、あれ? みさとっちとゆっきー、どうかしたの?」 後ろから二人の少女があらわれた。 「暗い顔ー。嫌な事でもあった?」 少女達は言いながら席につく。 「あー。ともちゃん、みゆちゃん。 遅かったねぇ。」 「ほんとに大丈夫、みさとっち? ゆっきーもぐったりしちゃってー。 二人とも、お疲れモード??」 『ともちゃん』に問われ、「ちょっとねー」と、 中原と綾川はハハっと乾いた笑いをあげた。 「あ、そういえば聞いた?」 ふいに『ともちゃん』口をひらいた。 「ん?なになに??」 皆がたずねる。 「今週から金曜日の5・6限目、 大森ドクターが講義にくるんだってー。 なんか知らないけど、急に授業のカリキュラムが変わったらしいよー。 でも、大森ドクター格好良いし、超嬉しいよねー」 「ホントだね。」 『みゆちゃん』がおっとりした調子でうなづく。 中原と綾川は下を向いていた。 二人とも、ぷるぷると肩がふるえている。 「ど、どうしたの?!」 「ゆっきー!?みさとっち???」 『ともちゃん』と『みゆちゃん』が、それぞれ二人の肩に 手をかけた次の瞬間、 「うきゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!」 二人の奇声がドーナッツ屋に響き渡り、まわりの目が一気にあつまった。 だけど、二人は気にしていないどころか、自分たちの世界にひたりきっている。 「ど、どーする みさとぉぉ!!!!」 「やぁぁ〜〜ん。幸せすぎ、まいっちんぐぅぅ〜〜」 「きっと、ドクターったらエンジェルをみつめて 『制服姿で授業を受ける姿もステキだよ。 マイハートエンジェル』・・・・・ なんちゃって なんちゃって なんちゃってーーーー!!!!!」 きゃーっと、またもやドーナッツ屋に二人の奇声が響き渡った。 まわりの人間は、そんな少女達の姿を変なものを見る目でみつめている。 しかし、『ともちゃん』と『みゆちゃん』は、慣れたように 別の話題に花を咲かせながらドーナッツを食べていた。 その週の金曜日の5・6限目。 ドクターのニヤリ笑いと二人の少女の奇声、 そして彼自身の悲鳴とともに、 内田敦裕の受難は本格的に幕を開けたのであった。 |
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010525(火)